箱根路を駆けた名選手たち～鈴木洋平～

こんにちは。今日は月に1度のシリーズ「箱根路を駆けた名選手たち」です。

今回紹介する選手は鈴木洋平（早稲田大卒）です。

駅伝に楽しさを持ち込むエンターテイナーです。

「4年目の覚醒」

1年次から華々しく活躍する選手がいる一方、本当には才能があるのに、故障等でずっと苦しむ選手もいます。

そんな選手が4年目に花開いたとき、チームは一気に活性化します。

鈴木が4年生の時の早稲田大がまさにそんなチームでした。

度重なる故障による我慢の期間を経て、エキサイティングでエンターテイメント溢れる走りを爆発させた鈴木の箱根駅伝を振り返ります。

〇高校時代

愛媛県の新居浜西高校出身の鈴木。都道府県対抗駅伝では2年次から1区12位、15位という結果を残しており、同世代の選手の中でも即戦力候補として期待されている選手でした。

〇大学時代

■1年次

早稲田大の同期には平、武田といった高校時代からのスターに一般入試組の井戸、佐藤と好選手が揃っていました。そして入学したときの4年生にはあの大迫傑もいるという豪華チーム。

その中でもさっそく関東インカレに出場した鈴木。駅伝への出場はありませんでしたが、今後に期待が持てる1年目でした。

■2年次＆3年次

ここで書けることはほとんどありません。なぜなら故障によりほぼ表舞台に現れなかったからです。2年次には右足の腓骨筋腱の部分断裂というケガで手術し、松葉づえを1か月間も突いていたそうです。チームは箱根駅伝5位、4位と安定して上位にいましたが、当然そこに鈴木の姿はありませんでした。それでも諦めなかったことが鈴木の未来を切り開きます。

■4年次

ここまでの雌伏の時を経て、スーパーブレイクを果たしたのが4年次のことでした。

5月に突如5000ｍ13分台の自己ベストをマークして駅伝ファンをざわつかせると、その勢いで出雲駅伝では4区に出走。そしていきなり区間賞の大活躍。

さらに全日本大学駅伝では3区2位の快走で青山学院大との首位争いで優位に立つなど勢いは止まりません。

青山学院大の原監督からも「早稲田の鈴木神ってる」と評されるほどの絶好調。そして走りながら沿道に手を振って応えていくスタイルは唯一無二の存在感を放っていました。

チームとしても全日本では最終8区まで青山学院大と優勝争いを展開するなどブレークスルーした様子。鈴木の覚醒と共に、上位安定だが優勝争いには絡めない、というチームから本気で優勝争いをできるチームにシフトしました。

そして迎えた最後の箱根駅伝。鈴木は重要区間の4区を任されることになりました。

襷を受けたのは先頭をひた走る青山学院大（森田）と1分22秒差の2位という位置。ここまでの勢いから大逆転を期待されましたが、森田の牙城を崩すことができず。最初で最後の箱根駅伝は区間3位という結果となり、チームも総合3位で戦いを終えることになりました。

〇社会人時代

卒業後は愛知県の愛三工業に進みました。エンタrunと呼ばれるレース中に沿道に向かって手を振りながら走るパフォーマンスが目立ちますが、それだけでなく、ニューイヤー駅伝では4区を任されるなどエースとして活躍しており、マラソンにも挑戦しています。ポテンシャルの高さは誰もが認めるところであり、今後日本代表として活躍してくれそうな予感です。

〇最後に

今回紹介した鈴木は3年次までは故障で全く表舞台に出られなかったものの、4年次にはほぼエースとして大活躍したというものすごいブレイクを果たした選手です。急にこんな選手が出てきたらチームも勢いづきますよね。事実、この年の早稲田大は例年より1ランク上の戦いを見せていました。

このように急にブレイクする選手がもしかしたら各大学に潜んでいるかもしれない。そう思ったらワクワクしませんか？

鈴木はそんな可能性を我々駅伝ファンに与えてくれた選手なのです。

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