箱根路を駆けた名選手たち～横井裕仁～

こんにちは。今日は月に1度のシリーズ「箱根路を駆けた名選手たち」です。今回紹介する選手は横井裕仁（帝京大卒）です。

変幻自在のエースとして、帝京大躍進への流れを築いた選手です。

帝京大は今、青山学院大の原監督も警戒するレベルの実力派集団として存在感を発揮しています。その強さの秘訣は抜群の育成力です。

入学時には全国的に無名だった選手が4年間かけて、エリート選手と同等以上に渡り合えるように成長していきます。そんな選手がたくさんいるのが帝京大なのです。

そして横井はその代表的な選手です。一歩ずつ、4年間成長し続けて最後はエースになりました。彼の成長に伴うように、帝京大も強豪校へと変貌していきました。

そんな横井の爽やかな箱根駅伝を紹介します。

〇高校時代

愛知県の津島高校出身の横井。強豪校ではなく、5000ｍの自己ベストは14分45秒と際立って速かったわけでもなかったので、全国的に目立った選手ではありませんでした。

〇大学時代

■1年次

横井が入学したときの帝京大は例年箱根駅伝でシード争いをしているチームでした。その中で横井は1年目から16人のエントリーメンバーに入ってきましたが、三大駅伝出走はなりませんでした。なお、チームはギリギリ10位でシード権を獲得しています。

■2年次

箱根駅伝デビューを果たしたのが2年次のこと。山下りの6区に抜擢されると、11位でスタートしたところからひとつ順位を上げる区間9位の健闘を見せました。最終的にチームは惜しくもシード争いに敗れ11位となってしまいましたが、このときに出走した6名の下級生（竹下、濱川、畔上、横井、岩佐、平田）はいずれも区間一桁順位で走破しており、次期以降の躍進が期待されました。

■3年次

走力が向上し、山下りから平地まで活躍の場を広げていったのが3年次のこと。箱根予選では個人53位、全日本7区では区間6位と平地で好走を連発、箱根本戦での起用区間が注目されましたが、山下りの6区に再登板しました。

往路が思うように伸びず、12位でのスタートとなりましたが、快調に飛ばして5人抜き。チームの停滞ムードを一掃し、シード復帰に導きました。

■4年次

山下りのエースから変幻自在のエースへと成長を遂げた最終学年となりました。

関東インカレではハーフ3位、日本インカレでは10000ｍで6位入賞とトラック、ロード問わずに高値安定の活躍で駅伝シーズン前からチームを勢いづけます。

そして初登場の出雲ではスピード区間の2区に抜擢、4人抜きでまたしても期待に応えます。

全日本でも初の主要区間と言える2区に登場。1区竹下が区間2位の快走で繋いでくれたため、橋詰（青山学院大）、や關（東海大）、片西（駒澤大）といった超強力なエース達と首位争いをするというとても貴重な経験を積みました。

そして最後の箱根駅伝では遂に山を降り、準エース区間の4区を任されることとなりました。

畔上、竹下、遠藤といった強力なエース達の必死の継走により、6位で襷を受けると区間3位の快走でさらに流れを加速させ、チームの5位躍進を引き起こしました。

ちなみにこの時の4区は区間賞が相澤（東洋大）、区間2位が館澤（東海大）と日本を代表するランナーでした。彼らに次ぐ区間順位に入ったというのは、とても素晴らしい快挙です。

〇社会人時代