箱根路を駆けた名選手たち~定方俊樹~

OB紹介

こんにちは。今年もやっていきます、月に1度のシリーズ「箱根路を駆けた名選手たち」です。今回紹介する選手は定方俊樹(東洋大卒)です。

今回の箱根駅伝では10位と、11年連続で続いた3位以内から零れ落ちてしまった東洋大。でもよく考えてみたら、この戦国駅伝の時代でそんな記録が続いていたこと自体が素晴らしいことです。

この偉業の始まりは山の神柏原竜二ともにあったのですが、彼の存在が偉大すぎたゆえ、次の山上りの選手にはとても大きなプレッシャーがかかりました。

その大役を担ったのがこの定方です。

彼は柏原のような神ではありません。でも、プレッシャーの中、必死に戦った定方が引き起こした奇跡があります。今回はそんな定方の箱根駅伝を紹介します。

〇高校時代

長崎県大村市出身の定方、実は父親も箱根ランナー。次男さんは東洋大OBで箱根駅伝に出場したことがあるほか、実業団で監督を務めた後には長崎県内の中学校でコーチを務め、怪物女子の廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ)などを指導しています。

川棚高校で競技を行っていた俊樹もインターハイへの出場経験こそないものの、長崎県高校駅伝では好タイムで1区区間賞を獲得するなど、有力選手として注目されていました。

〇大学時代

■1年次&2年次

定方が東洋大に入学したとき、東洋大は柏原を擁して箱根駅伝2連覇中、同期にも設楽兄弟、大津、延藤、日下など強力な選手が揃っており、簡単には試合に出られる環境ではありませんでした。

といった中でも実は1年次の出雲駅伝4区に出場しています。区間8位でしたが、3位で受けた襷をしっかりキープしました。

ただ、その後は激しいレギュラー争いを勝ち抜くことはできず、下級生時の三大駅伝出場はこれが最初で最後となりました。

■3年次

入学とともに黄金時代が始まった強力世代の卒業により、作り直しとなった東洋大。中でも山上りの5区で4年連続区間賞、4年連続往路優勝のゴールテープを切った“神”柏原の後釜を誰にするのかという課題がとても大きかったです。

そして、その位置にまだ実績の少なかった定方が座ることに。

箱根本番、選手が飛ばされそうな勢いの強風の中、東洋大は田口や設楽兄弟の快走により首位で戦いを進め、2位と2分近くの差を持って5区定方に繋ぎます。

ただこのときの5区は本当に過酷でした。2選手が途中棄権するほどの強風に煽られながら定方は必死に駆け上がりますが、後方から追い上げてきた服部(日体大)と山本(早稲田大)に交わされてしまいます。

ポスト柏原として臨んだ初の箱根は区間10位。チームも優勝を逃し、悔しい経験となりました。

■4年次

前年の悔しい思いから一回り成長した東洋大。設楽兄弟や服部兄弟、大津、田口、高久など強力な選手が揃い、チームとしての完成度が高まっていきました。

しかし、この年は駒澤大が超強敵に。窪田、村山、中村の三本柱を軸に出雲、全日本ともに快勝しました。

箱根だけは何としても優勝したいー

東洋大の酒井監督は前年苦しんだ5区にエースの設楽啓太を配置するという驚きの采配を行いました。3年連続で花の2区を好走している選手をコンバートするというのはかなりレアなケースです。

ただ、前年のような強風の場合には軽量級の設楽啓はポテンシャルが発揮できない恐れがあるとのことで9区に投入し、5区には1年生の成瀬を投入するパターンもあるという2段構えの戦法で臨みました。

いずれにしても、定方が山を再び上るという選択肢はありませんでした。

でも、彼は違う形でリベンジを果たします。

この作戦の肝は当日早朝まで風の状況を見極める必要があるということ。

その大役を果たしたのがこの定方だったのです。

前年に強風に苦しんだ経験を活かしながら、当日は風の影響が少ないとジャッジ。予定通り設楽啓太を5区に投入する戦法を実行させました。

そしてこの作戦が大当たり。

僅差の首位で襷を受けた設楽啓太は5区区間賞の快走。追いすがる駒澤大を引き離して往路優勝を手にします。ここで奪ったリードが大きかったのでしょう、復路でも冷静に駒澤大を退け、東洋大は歓喜の王座奪還を果たしました。

〇社会人時代

東洋大卒業後は地元長崎の実業団MHPSに進むと、ここで才能が開花します。主力選手としてニューイヤー駅伝では何度も主要区間を任されているほか、先日の東京マラソンでは2時間7分5秒の好タイムをマーク。

黒木監督からも「タフさは井上大仁よりもあると思う」と評価されており、世界選手権やオリンピックも狙えるランナーとして注目されています。

〇最後に

“山の神”の後に山を走るのはとても大変なことです。大きなプレッシャーもあったでしょう。そして、期待に応える走りができませんでした。次の年には走ることすらできませんでした。

でも、定方は定方にしかできない役割を果たしてチームの優勝に貢献しました。

悔しい思いもあったとは思いますが、チームのために身を砕ける選手がいるのが東洋大の強さの土台となっています。

そして、定方自身も大学時代の悔しい経験を糧に、世界に羽ばたこうとしています。箱根駅伝は大事だけど、でもそこで活躍するだけが全てではない。今の定方はそう感じさせてくれます。

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