【箱根駅伝】絶望より這い上がりし男たち

こんにちは。箱根駅伝に向けて注目してほしい選手を様々な切り口から紹介する企画第2弾。今回のテーマは「絶望より這い上がりし男たち」です。

箱根駅伝を走る選手にはそれぞれドラマがあります。4年間活躍し続ける選手がいる一方、故障や予期せぬブレーキなど、大きな困難と戦うことになる選手もいます。

でも、そんな困難を糧に大きく成長し、箱根駅伝で活躍する選手はとてもドラマチックです。

例えば、前回東洋大の7区を走った蝦夷森は2年次に箱根で好走してから故障でずっと表舞台に姿を現していませんでしたが、4年生最後の箱根駅伝で奇跡的に復活。2年ぶりに走った箱根では8区4位の激走でシード争いの危機から救ってくれました。

今回は蝦夷森のように、絶望から這い上がって箱根駅伝で活躍してくれそうな選手を紹介します。

■鈴木芽吹（駒澤大3年）

2年次には日本選手権10000mで3位入賞を果たした、学生長距離界を代表するエースです。自己ベストは27分41秒と留学生レベル。しかし、昨季の駅伝シーズンは故障で欠場、急ピッチで8区に間に合わせた箱根でも走行中に疲労骨折を発症するという痛ましい思いをすることになりました。その故障が長引いていましたが、今季の出雲で電撃復帰。

復帰戦にも関わらず、エース区間の6区で区間賞を獲得する流石の走りを披露しました。常にエース区間で圧倒的な走りを見せつけている田澤とは対照的な道のりを歩んでいますが、故障を乗り越えた鈴木だからこそできる劇的な走りがあるはずです。

■木本大地（東洋大4年）

昨季、特に目立った実績はなかったものの箱根4区に大抜擢。しかし区間18位と失速し、その期待に応えることはできませんでした。それでも、そのまま終わらないのが木本のすごいところ。関東インカレハーフで5位入賞を果たすと、全日本予選でもまだ暑い1組目でスタートから飛び出す積極的な走りで猛アピールしています。

「怯まず前へ」を体現する木本の熱い走りが、必ずや東洋大をひとつ上のステージに押し上げてくれるはずです。

■千守倫央（中央大4年）

千守は1年次に箱根1区に抜擢され、区間16位ながらよく粘ったと高く評価されていました。2年次には10000m28分15秒と学生長距離界トップクラスのタイムをマーク、一躍エース候補として存在感を発揮していましたが、昨季は全休。チームもどんどん充実していく中で流れに乗れていない印象でしたが、今季は見事に復活を果たしました。

出雲2区3位、全日本1区3位と序盤区間での好走で中央大の快進撃を牽引しています。箱根でも、吉居兄弟と共に前半区間で躍動してくれるでしょう。

■石原翔太郎（東海大3年）

これまで走った駅伝は全て区間賞。無敗のエースですが、2年次から故障に苦しみ、昨季は駅伝を一本も走ることができず。これだけブランクが空くと以前のような活躍ができないのではないか。そんな心配もよぎりましたが、2年ぶりの駅伝となった全日本では強豪たちを押しのけて区間賞獲得。あの破壊的な走りが戻ってきました。無敗の男が挑む2年ぶりの箱根、要注目です。

■佐藤航希（早稲田大3年）

スピード型の選手が多い早稲田大の中では貴重なスタミナ型の選手として昨季レギュラーを掴んだ選手です。しかし、全日本では6区17位で先頭を明け渡し、箱根でも9区でシード争いから脱落するなど、そのポテンシャルが発揮されたとは言えませんでした。

それでも今季は箱根予選で個人16位、全日本でも8区5位と素晴らしい戦績を残しています。昨季のタフな経験から心強い選手に成長した佐藤。復路の切り札として大活躍してくれそうな雰囲気がしてなりません。

■ボニフェス・ムルア（山梨学院大4年）

最後に紹介するのは紆余曲折を経て最初で最後の箱根駅伝を目指すムルアです。

入学後すぐに1学年上のオニエゴを差し置いてレギュラーを獲得。箱根予選でも個人10位と好走しますが、チームが振るわず本戦出場はならず。

2、3年次は先輩留学生のオニエゴが大きく成長したこともあって、主要大会に出場することはできませんでした。

オニエゴが卒業した今季こそエースとしてチームを引っ張りたいところでしたが、今度は後輩留学生のムトゥクが入学。

いきなり高いポテンシャルを見せたムトゥクに箱根予選のメンバーを譲ることになってしまいます。

ムルアはこのまま箱根駅伝を走れないのか。

そう思われても仕方ないような状況でしたが、ここにきて10000m27分台、上尾ハーフ独走優勝と箱根に向けて過去最高の仕上がりを見せています。

留学生が多数出場する2区でも区間賞争いは十分にできるでしょう。