こんにちは。月に1度のシリーズ「箱根路を駆けた名選手たち」です。今回紹介する選手は中山 顕(中央大卒)です。
中山は箱根駅伝が好きな人にとっては、印象深い選手かもしれません。
何せ、高校時代のベストは箱根駅伝ランナーの中では遅く、入学時は正式な部員にもなれなかったほどの選手です。でも、そんな選手が4年間かけて学生トップクラスまで上り詰めて、低迷が続く中央大をあと一歩でシード権を獲得できるところまで引き上げたのです。
そんな、雑草からスターへと駆け上がった中山の熱く濃厚な箱根駅伝を振り返ります。
〇高校時代
埼玉県の伊奈学園高校時代は目立つような競技実績はほぼ皆無でした。大会でもほとんど地区予選落ちで、県大会には1度出場したのみ。5000mのベストは15分8秒と、上位選手からは1分以上遅いタイムで、相当な陸上マニアでなければ中山の存在は知ることのできないレベルでした。
それでも、中山は箱根駅伝に挑戦したいと思ってしまったのです。
〇大学時代
■1年次
箱根駅伝常連校の中央大に進学した中山でしたが、高校時代の実績が無さ過ぎて、当初は陸上部への入部が認められませんでした。
それでも、何とか寮外から日常の練習に参加する「準部員」という形でチームに参加することを認めてもらいました。
ただ、準部員として部に残るにも条件があり、12月までに5000mで14分台を出せなければ退部にすると言われていました。
夏に故障でしばらく走れなかった中山にとってはかなり厳しい条件でした。
それでも森コーチの尽力もあって、11月に5000mで14分58秒のベストをマーク。何とか正部員に昇格し、チームに残ることができたのです。
箱根駅伝への出場はまだまだ遠いところで、中山の戦いは続いていきます。
■2年次
正部員になって練習にもこなせるようになり、中山は密かに実力をつけていきました。しかし、この年はチームが過去いちばんのレベルで低迷。箱根予選も敗退し、88大会ぶりに箱根駅伝出場を逃すことになってしまったのです。
■3年次
3年生になって、遂に中山の成長が光の当たるところまで上ってきました。全日本予選で初めて主要大会のメンバー入りを果たすと、3組5位といきなり結果を残します。
そして、箱根予選ではなんとチームトップの個人8位で走破。
準部員上がりの選手が、88回続いた連続出場が途切れたチームを再び箱根路に戻す戦いの先頭を走るという奇跡を起こしました。
この突然の大活躍に駅伝ファンも注目せざるを得なくなりました。
念願の箱根駅伝デビューも果たし、3区6位とここでも好成績。
素晴らしいブレイクの1年となりました。
■4年次
中山の成長曲線は止まりません。4年次には10000m28分22秒、ハーフでも61分32秒と超一流のタイムをマーク。もう学生長距離界を代表するエースとなりました。
そんな中山は最後に、チームが長らく遠ざかっていた箱根駅伝でのシード獲得に挑戦しました。
中山が任されたのは1区。集団から抜け出した西山(東洋大)に最後まで食らいついて1秒差の区間2位。
入学当初は陸上部に入ることも認められず、1年次にはあと2秒でやっとこさ追放から逃れられたという選手が箱根駅伝1区で区間賞争いをするという、奇跡のような走りを見せてくれました。
中山の絶好のアシストにより、2区堀尾も気持ちが入ったのでしょう。終盤まで東洋大と先頭で並走するナイスラン。その後は故障者の影響もあって順位を落とし、11位でシード権を逃してしまいましたが、序盤の中央大が先頭で中継車に映る光景は、中央大復活が近いことを印象づけました。
〇社会人時代
中央大卒業後は実業団の強豪チーム、Hondaで競技を続けています。1年目にはニューイヤー駅伝3区で区間2位の激走を披露。実業団レベルでも日本トップクラスの選手へと成長を遂げています。
今後はマラソンで日本代表を目指していくとのこと。マラソンの日本代表は狭き門ですが、中山ならやってくれるのではないか。
彼の競技人生を見ていれば、そんな気持ちになるのは自然なことです。
〇最後に
高校時代の実績が無くても、箱根駅伝で活躍できて日本トップクラスの選手になれる。
それを証明した中山の活躍は、多くのランナーに希望を与えました。
その道のりは決して簡単なものではなかったはずです。
相当な気持ちの強さがなければ途中で折れていたと思います。
でも、だからこそ中山の走りには気迫があるのでしょう。
中央大の新しい歴史の作り手となる、素晴らしい選手でした。
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